霊長類研究 Supplement
第23回日本霊長類学会大会
セッションID: P-33
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ポスター発表
突起のついた積木をつむ課題にみる行動方略:チンパンジーとヒトの比較
*林 美里竹下 秀子
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抄録
 チンパンジーもヒトも、発達の過程で積木をつむようになる。立方体の積木だけでなく、形を変化させた積木を使うことで、物理的な特性の理解について調べた。積木をつむという文脈の中では、下の積木が上の積木を支えるという機能を果たすことが重要だ。積木の形や向きを変えると、上の積木を支えるという機能に違いが生じてくる。立方体積木の隣り合う2面に、半円形の突起をつけた積木を使用した。この突起積木では、つむのに適した方向が1通りに定まる。つまり、上下に平面がくる向きだけが、次々と積木をつむのに適している。チンパンジー幼児3個体と、ヒト幼児を対象として、同一の課題を対面場面で実施した。立方体の積木2個と、突起積木2個を提示して、すべてをつみあげたときに正解とした。突起が2つとも横についている向きが1個と、突起が上についていて次につめない向きが1個という状態で提示した。物の操作を時系列にそった文字列として記述する方法を用いて、すべての操作を記述して分析に用いた。正解にいたるまでの手順を調べ、効率性を高めるために、どのような行動方略が使われているかを明らかにした。積木の向きを変えて突起が邪魔にならないようにつむ行動は、もっとも進んだ段階だと考えられるが、チンパンジーでもヒトでもまれにしかみられなかった。突起のついた面が上になっている積木を、最後まで残しておいて塔の一番上につむ行動が両種ともにみられた。突起積木が2個ともつめない向きになっている場合は、この方略が使えないために、積木の向きを変えるという行動方略が必要となり、その獲得過程を調べた。また、突起が下になり、見かけとして平面が上になっているかたちで保持したまま、他の積木に接触させる行動が、両種ともに観察された。物理的な特性の理解と、それがどのように積木つみ場面における行動方略として表出されているかに焦点をあてて考察をおこなった。
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© 2007 日本霊長類学会
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