霊長類研究 Supplement
第23回日本霊長類学会大会
セッションID: P-34
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ポスター発表
ELISA法によるニホンザルCalreticulinの組織分布と血中濃度
*東濃 篤徳景山 節
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抄録
 Calreticulin(Crt)は代表的な小胞体ストレスタンパク質として知られる。分子量約55kDaで新生タンパク質に糖鎖の付加やトリミングをする分子シャペロンとして働く。今回はELISA法により定量したニホンザルCalreticulinの組織分布を報告する。我々は既にニホンザルCrt cDNAのクローニングをおこない全アミノ酸配列(418残基)を決定している。また標準Crtとして、ニホンザル成分のcDNAをp-GEX vectorに組み込み大腸菌BL21系で発現させたニホンザルrecombinant Crtを調製する方法を確立した。ELISA法は抗Crtペプチド-ウサギ抗体を捕捉抗体とし、抗Crt-マウスモノクローナル抗体を1次抗体、Biotinラベルの抗マウスIgG-ロバ抗体を2次抗体として用い、さらに増感剤(AMDEX、アマシャム)を用いたサンドイッチ法であり、検出限界は約10ng/mlである。このELISA系によって各種疾患ニホンザルの血中Crt濃度を測定したところ、肺炎、下痢などの症状が見られるサルで高い値となることが明らかとなり、疾病診断など臨床応用の可能性が示唆された。また、新生児・若年・成体ニホンザルの各組織におけるCrtタンパク質の発現分布を調べた。大脳皮質の各領域では新生児で低い値を示し発達に伴い増加する傾向が見られた。他の組織では新生児の心臓や肺、肝臓で若年個体や成体に比べて高いCrt量が見られた。これらはいずれも発達に伴う組織における糖タンパク質の生合成の増減と相関していると考えられた。以上、本研究ではニホンザルにおける血中Crt測定による臨床応用の可能性を示すとともに、小胞体ストレスタンパク質Crtの組織発現について脳などの組織発現分布と発達過程での変化についての基礎データを得た。
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© 2007 日本霊長類学会
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