霊長類研究 Supplement
第24回日本霊長類学会大会
セッションID: P-15
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ポスター発表
関節部内部構造の種間変異の一般性:霊長類と食肉類の比較
*江木 直子中務 真人荻原 直道
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抄録
骨格関節の内部構造は、動物の行動や関節部の機能と相関していると考えられてきた。霊長類については関節内部構造について幾つかの種間変異が指摘されてきたが、それらが対象霊長類種に特有な現象か、他の霊長類や哺乳類にも当てはまりうる現象であるかは、研究例が少ないために不明である。本研究では、霊長類と食肉類という2つの系統群で上腕骨遠位部関節内部構造を観察し、それぞれでの種間変異パターンを調べた。
資料には小型~中型種を用い、霊長類は18種、食肉類は15種を含む。上腕骨遠位部をpQCT(peripheral Quantitative Computed Tomography)スキャナーを使って0.05mmの精度で撮影し、3次元連続影像をもとに内部構造の観察を行った。小頭、滑車溝、滑車前部の3箇所で、海綿骨骨梁の異方性とその方向、海綿骨の容積密度、緻密骨と海綿骨の骨量を計測した。 
結果として、いずれの種でも、骨梁は矢状面と平行な方向により発達する傾向があり、肘関節の可動方向とも一致する。食肉類の方が霊長類より、滑車での骨梁の向きが矢状面から傾くが、これはここの部分の関節面の傾きと対応する。海綿骨容積密度は変異が大きいが、これは種間差より種内差による。海綿骨容積は、走行性食肉類や地上性の強い霊長類で増加傾向にあった。一方、霊長類ではロリスにおいて緻密骨の増加が見られた。
これらの結果から、(1)海綿骨骨梁の方向は関節の動きの方向と対応し、一軸性関節では種間変異は小さくなる、(2)海綿骨容積密度の変異と運動行動との相関は種間レベルでは支持されない、(3)体の大きさにたいして関節緻密骨と海綿骨の量は変化しうるし、またこれらは互いに独立であることが示唆された。
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© 2008 日本霊長類学会
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