霊長類研究 Supplement
第24回日本霊長類学会大会
セッションID: P-16
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ポスター発表
胎児期におけるニホンザル頭蓋形態の3次元成長変化
*矢野 航江木 直子高野 智荻原 直道
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抄録
霊長類の頭蓋の形態的変異は、個体の成長パターン、特に胎児期における成長パターンが時空間的に改変されることによって発現すると考えられている。しかし、霊長類の胎児期における頭蓋形態の形成メカニズムを明らかにする試みは、標本の希少性から今までほとんど行われていない。本研究ではニホンザル二亜種の胎児標本の頭蓋形態をX線CT装置を用いて非破壊的に観察し、その成長変化を横断的に定量化することを通して二亜種間の形態差が発現する機序を明らかにすることを試みた。
分析には(財)日本モンキーセンター所蔵のニホンザル胎児の液浸標本を用いた。標本はなるべくサイズの分布が偏らないよう選択し、先天異常や変形のあるものは除外した。まず、各個体の頭部の連続断層像をCT装置を用いて撮影し、得られた積層断層像から骨領域を抽出して頭蓋の精密立体モデルを計算機内に構築した。そして頭蓋骨上に定義した計68の解剖学的特徴点の3次元座標を計測し、その座標の集合として表される各個体の形態変異を、3次元数理形態学的手法を用いて分析した。3次元数理形態学的手法とは、成長に伴う形態の変化を、特徴点座標の3次元的な運動として捉え、その主成分を統計学的な手法を用いて抽出することによって、形態変異の傾向と特徴を定量的に明らかにする手法である。
その結果、現在のところ解析標本数が少なく予備的ではあるが、ニホンザル二亜種の胎児期における頭蓋の成長パターンは基本的には互いに類似するものの、眼窩形状や後頭骨の向きの違いといった成体で二亜種間に見られる形態差は、胎児期においてすでに明瞭に表れていることが明らかとなった。今後、分析個体数を増やして二亜種の胎児期における成長曲線の差異を詳細に明らかにすると同時に、他の霊長類の胎児とも対比することをとおして霊長類の形態形成メカニズムを考察していく予定である。
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© 2008 日本霊長類学会
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