霊長類研究 Supplement
第24回日本霊長類学会大会
セッションID: P-17
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ポスター発表
パタスモンキー(Erythrocebus patas) 踵骨の成長パターン
*奥田 ゆう
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抄録
本研究では、パタスモンキー(Erythrocebus patas) の踵骨の成長パターンについて分析した。パタスモンキーはサバンナ性で地上生活に適応しており、広い範囲を移動できる長い脚をもつ。コドモは早熟で、5ヶ月ほどで母親から完全に独立して移動可能となる。比較対象は、地上・樹上生活を行うニホンザル(Macaca fuscata)・アカゲザル(Macaca mulatta) とした。踵骨は足関節の底屈にはたらく腓腹筋、ヒラメ筋、足底筋が停止する骨であり、歩行に大きく関わる。踵骨の形態がどのように成長していくかを比較し、歩行様式、生活史との関係を考察する。標本は実生年が記録されている骨格標本(京都大学霊長類研究所、日本モンキーセンター所蔵 ) を使用した。踵骨の最大長、最大幅などをノギスで計測した。各計測項目において、adultの平均値からの各年齢の平均値の標準偏差スコアを計算した。踵骨の形態は性差が大きいため、本論ではオスのみを使用した。標準偏差スコアは、パタスモンキーでは0~1歳間の違いが小さく、1~2歳間で非常に大きくなり、2~3歳間ではまた小さくなった。一方、ニホンザル・アカゲザルは、年齢があがるに従い年齢間の違いは小さくなった。また、踵骨の形態が完成する年齢は、それぞれのサルが性成熟を迎える時期とほぼ一致し、ニホンザル・アカゲザルは5歳前後、パタスモンキーは3歳で完成した。しかし、踵骨隆起は3歳ではまだ未熟である。パタスモンキーは距骨との関節面が非常に早い時期(1歳頃) にほぼ完成するとともに、踵骨の骨端も3歳程度で癒合する。よって、未完成ではあるが遅くとも3歳頃までには走行による強い負荷に耐えられる踵骨が形成されている。このことは、パタスモンキーのコドモがオトナと同じ走行様式をとることと関係している可能性がある。
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© 2008 日本霊長類学会
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