霊長類研究 Supplement
第24回日本霊長類学会大会
セッションID: P-20
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ポスター発表
霊長類の運動特性による発達変化の差について
*中野 良彦
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抄録
霊長類はその進化過程において、樹上空間における多様な生息環境への適応放散を示し、その結果、それぞれの種が分化し、種に固有な運動様式とそれに対応した形態的特徴を持つようになったと考えられる。こうした霊長類の運動様式については、ヒトの直立二足歩行をはじめとして、特定の種のみに見られるものも少なくない。しかし、その進化過程についてはほとんどわかっておらず、その解明の一助として、霊長類における運動の個体発達についての研究を行ってきている。これまでに研究対象とした運動様式はニホンザルの四足歩行と二足歩行、チンパンジーの垂直木登り運動と二足歩行で、このうちチンパンジーの垂直木登り運動については林原類人猿研究センターの協力を得て行った。それぞれの種で対象とした運動は、自然状態で通常行われる運動(四足歩行、垂直木登り)と、自然でも可能ではあるが通常は頻繁には行われない運動(二足歩行)の組み合わせである。後者の運動については、実験を可能とするため、事前にトレーニングを行った。また、これらの実験はそれぞれ独立して行っており、用いた個体や実験時の年齢等については異なったものとなっている。その結果として、次のような傾向が認められた。通常に行われている種に固有な運動に関しては、ヒトの直立二足歩行の発達と同様に、種に共通の発達変化のパターンが認められた。これに対して、通常は行われない運動の発達については、個体差が大きく、トレーニング効果が大きく影響している可能性が示された。これらのことから、霊長類の進化における運動適応の過程についてさらに考察する。
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© 2008 日本霊長類学会
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