霊長類研究 Supplement
第24回日本霊長類学会大会
セッションID: P-35
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ポスター発表
森林の視界環境がニホンザルの発声頻度に与える影響
*鈴木 真理子
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抄録
ニホンザルの発声の8割を占めるクーコールは、群れの空間的なまとまりを維持するためであると言われている。一方で、他個体と非常に近接している場合にも発声頻度は高くなることが知られている。このように、クーコールは複数の文脈で使用されていると考えられ、機能についてはあいまいなままである。そこで、空間的なまとまり維持のための発声を確かめるため、群れからはぐれてしまう要因の一つである視界環境を指標にとり、ニホンザルが視界の悪い場所では発声頻度を上げるかを調べた。さらに、そのときの他個体の空間配置状況によって発声頻度が変わるかを調べた。本研究は、屋久島の西部海岸域に生息するヤクシマザル(Macaca fuscata yakui)2群のオトナメス11個体を対象におこなった。個体追跡法を用い、一分間の瞬間サンプリングで個体の行動を記録した。また、個体の発声回数および見回し回数、周囲10mの個体数、そのときの森林の視界環境を記録した。視界環境は3段階とし、追跡個体の周囲20mの見通しで評価した。調査期間は2007年4月から8月まで、観察時間は約150時間であった。ニホンザルの発声頻度は、森林の視界環境によって異なった。見通しが悪いほど、発声頻度が上がる傾向があった。また、そのときの他個体の配置によっても変わることがわかった。これらの結果から、ニホンザルはその場の視覚情報に対応して発声頻度を変えている可能性が示唆された。ニホンザルにおける視覚情報と発声の関係について考察する。
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© 2008 日本霊長類学会
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