霊長類研究 Supplement
第24回日本霊長類学会大会
セッションID: P-36
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ポスター発表
ニホンザルとクモザルにおける群れ内の個体の空間分布
*下岡 ゆき子杉浦 秀樹LINK AndresDI FIORE AnthonyA. RAMILEZ Monica
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抄録
霊長類の多くは群れを作る。ほとんどの種はまとまりの良い群れを作るが、一部の種では離合集散する群れを作ることが知られている。群れのまとまりの程度、すなわち個体の空間分布密度の差は、社会関係の構築や採食競合などに直接的に影響を与えるものである。しかしながら、こうした社会構造の差異を量的に示した研究はほとんどない。本研究では、異なる社会構造を持つ2種の社会構造を量的に示し、比較することにより、それぞれの特性を見直すことを目的とする。
金華山島のニホンザルA群とエクアドル・ティプティニ生物多様性センターのクモザルMQ-1群を対象として野外調査を行なった。2人あるいは3人の観察者がそれぞれの対象個体を同時に追跡・観察し、活動や発声を記録すると同時に、GPSを用いて位置を自動的に記録した。2個体間の距離を算出し、その分布パタンおよび経時的変化のパタンを2種間で比較した。
2個体間距離の分布は、ニホンザルでは夏には最大1200mまで見られたが,秋と冬では0-180mまでであり、クモザルでは最大2420mまで広がった。ニホンザルでは二個体間距離が300mに近づくと再び近づくことによりまとまりを保っていたが、クモザルではその距離が50mと小さくまとまっていた。また、また、ニホンザルでは2個体間の距離が300mを超えると短時間で一気に離れてサブグルーピングが起こるのに対し、クモザルでは50mを超えてからも徐々に距離が離れていくというように、経時的な2個体間距離の変化パタンにも違いがみられた。
ニホンザルA群の行動域は約300ha,クモザルMQ-1群では350haと行動域の大きさに若干の違いはあるものの、両者の行動域内における個体の分布パタンの違いが顕著に見て取ることができた。異なる社会構造における行動特性の定量的な比較を行う上で、この手法は有効と考えられる。
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© 2008 日本霊長類学会
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