霊長類研究 Supplement
第25回日本霊長類学会大会
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自由集会2 社会の学としての霊長類学(第3回)―「他者」としての他個体と「社会的な複雑さ」
社会の学としての霊長類学(第3回)―「他者」としての他個体と「社会的な複雑さ」
*花村 俊吉清野(布施) 未恵子
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p. 2

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抄録
近年の霊長類学や隣接諸分野のトピックの1つである「社会的な複雑さ」とは一体何を指しているのだろうか。そもそも何が「社会的」なのだろうか。過去2回の同名自由集会において,ヒトを含む霊長類の社会を捉える多様な認識論と方法論が議論されてきたが,本自由集会では,社会生活を営む個体は「モノ」ではなく各々が主体的にふるまう「いきもの」であり,ある個体にとって他個体は自分のふるまいに応答する「他者」であるという事実に再度立ち帰りたい。他個体が「他者」であるということは,交渉相手のふるまいを完全に予測することができず,自分のふるまい次第で相手のふるまいも変化するということを意味する。このことは相手にとっても同様であり,複数の個体が互いに相手のふるまいに依存しつつ交渉するという事態が生じる。こうした事態は,霊長類学や隣接諸分野でも社会の複雑さの由来として扱われてきた。たとえば「マキャベリ的知性」は,こうした事態において,他個体のふるまいを予測して自分の繁殖成功度を高めるようにふるまうために進化してきたと考えられている。また,「ゲーム理論」が出発点とする個体間のジレンマは,まさにこの事態のことであろう。これらの研究によって,霊長類の行動戦略や認知機構とそれらの進化について様々なことが明らかになってきたが,その一方で,研究者がフィールドで観察する霊長類の社会生活のリアリティーやその複雑さには,そうした個体の行動・認知やそれらを表現する遺伝子に還元するだけでは捉え切れない側面もあるように思われる。今回は話題の焦点を霊長類に絞り,霊長類たち自身の時空間的な文脈のなかで個体間の交渉によって生じる社会現象に関する複数の観点からの話題提供を通して,その社会が複雑と呼ばれていることの内実に迫りたい。動物行動学や人類学などの隣接分野からのコメントも交え,参加者とともに霊長類の社会について理解を深めていきたい。
話題提供
小川秀司(中京大・国際教養):マカクの「さるだんご」の形成過程(仮)
中村美知夫(京都大・野生動物):霊長類の接触行為と個体概念の再考(仮)
花村俊吉(京都大・理):チンパンジーの長距離音声による行為接続とその文脈(仮)
コメント
藪田慎司(帝京科学大・アニマルサイエンス)
木村大治(京都大・アジアアフリカ地域)
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© 2009 日本霊長類学会
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