霊長類研究 Supplement
第25回日本霊長類学会大会
セッションID: A-6-1
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口頭発表
ニホンザル踵骨内部構造の成長変化:運動行動発達との関係
*江木 直子荻原 直道矢野 航
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抄録
体肢骨の様々な構造は,その動物の運動行動や体重支持と関係していると考えられている。骨構造には,骨量や骨内での骨質の分布,海綿骨骨梁の方向などの内部の構造が含まれるが,これらが成長過程においてどのように形成されてくるかを観察した研究は少ない。本研究では,ニホンザルの横断サンプルを用いて,踵骨内部構造の成長変化を調べ,内部構造の形成と運動行動の発達との関係を検討した。
資料には,胎児から9歳の成体までの個体が含まれる。もっとも若い胎児個体の体重は,新生児の約半分であり,これより若い個体では骨化がまだ進んでいなかった。出生後の個体は,すべて出生日・死亡日と性,体重が判明しているものを用いた。踵骨内部構造の観察は,結節部と後距骨関節部を中心に,CT画像にもとづいて行った。踵骨は,晒し骨か液浸状態のものを,micro CTで0.02~0.05 mmの精度で撮影した。
後距骨関節での海綿骨骨梁は,胎児の段階で既に異方的に発達していることが観察された。結節部は部位自体が出生前には非常に小さく,骨梁の配列がはっきりするのは生後6ヶ月である。これは,アカンボウがしっかりと歩き出す時期と一致する。皮質骨の形成は後距骨関節部で生後1ヶ月,結節部では2歳ごろに始まった。後者は,コドモが長距離歩行を始める時期と一致する。皮質骨の変化は亜成体の段階でも続き,厚くなり続ける。
本研究では,踵骨結節部の骨梁配列形成時期については,歩行能力獲得時期と一致し,運動行動発達と形態形成の相関を支持した。しかし,後距骨関節での骨梁配列は歩行能力の獲得以前に形成されており,また皮質骨の形成は歩行獲得後に長く続いた。このことから,体肢骨内部構造の個体成長における形成には,運動行動による荷重変化だけでなく,遺伝的な制御や体サイズ・筋量増加などが影響していることが示唆された。
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© 2009 日本霊長類学会
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