霊長類研究 Supplement
第25回日本霊長類学会大会
セッションID: B-2-4
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口頭発表
ニホンザルのオスにおける第3者の存在が2個体の近接に与える影響
*川添 達朗
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抄録
【目的】 ニホンザルのオスはメンバー構成の異なる集団を形成することが知られている。そのような集団の中で,他個体の存在がオス同士の関係や集団の形成,離散に影響することが考えられる。本研究では2個体での近接と3個体での近接を比較し,第3者の存在が2個体の個体間関係にどのような影響を及ぼすのか検討した。
【方法】 宮城県金華山島で2007年1月から9月の非交尾期に調査を実施した。追跡個体から5 m以内に他個体がいる状況を近接と定義し,近接個体と近接が開始された時刻と終了した時刻をそれぞれ記録し近接の継続時間を求めた。それらの結果をもとに,2個体での近接の継続時間と3個体での近接の継続時間を比較した。
【結果】 調査期間中に8頭のオスを識別し,それぞれ50時間以上の個体追跡を行った。2個体での近接は個体の組み合わせにより近接の継続時間に差があることがわかった。3個体での近接では特定の個体の組み合わせにおいて,2個体だけで近接しているときよりも第3者となる個体が同時に近接しているときの方が近接の継続時間が有意に長くなることがあった。また,2個体だけで近接しているときより3個体で近接しているときの方が近接の継続時間が短くなる個体の組み合わせも見られた。
【考察】 本研究では2頭での近接の継続時間と3頭での近接の継続時間を分析の対象とした。その結果からは第3者の存在が他の2個体の近接の維持に影響している可能性があり,個体の組み合わせによって3頭での近接が親和的にも敵対的にもなり得ることが示唆された。この様な第3者の存在が2個体の関係に影響することがオス同士の集団形成の一因となっているのではないかと考えられる。
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© 2009 日本霊長類学会
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