霊長類研究 Supplement
第25回日本霊長類学会大会
セッションID: B-6-2
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口頭発表
屋久島における分裂中のニホンザル群の遊動ルート解析
*SPRAGUE D. S.岩崎 亘典
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抄録
霊長類の研究者の多くは調査対象の群れの遊動ルートを記録する。また,動物の遊動データの解析手法が飛躍的に進歩するなか,GISによる解析を前提にして調査を計画することが常識になってきた。しかし,過去のニホンザルの調査では一日に一回の一本の線で遊動ルートが記録された場合が多い。これらの記録は霊長類による空間利用のデータとしては精度が必ずしもよくない。しかし,調査群の歴史的な変遷を表すこのような遊動データは重要な情報を記録しているので,GISによる解析の方法を確立する必要がある。
本研究は屋久島のニホンザルの群れが分裂を開始した1985-86年の10ヶ月間におよぶ遊動ルートを解析した。調査者が観察群とともに歩いた遊動ルートを日々地図に描いたものをデジタイズしてGISに取り込んだ。MCPとKernel法で,各ルートの最初・最終地点,セントロイド地点,ルート上の一定間隔地点などから分布モデルを計算した。これらを元に群れ間の遊動域重複領域とルート間距離を計算した。次に,各ルートの距離や方向性とともに,コスト距離解析により,遊動コストが高い部分と低い部分があるか,遊動コストを軽減するルートを選択する可能性があるのか,について解析をおこなった。
データ期間開始時点で異なる群れと判断されていた群れの遊動域はある程度重複していながらも,コアエリアの重なりは少なかった。分裂を開始した群れは主群とは異なる独自のルートで遊動し始めていた。分裂する群れは遊動域を主群から離すことが予測されるが,データ期間内では依然として遊動域全体およびコアエリアはほぼ重複し続けていた。分裂群は主群と同じ場所を通過しながらも,同時に通過する場合は減少していと考えられる。
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© 2009 日本霊長類学会
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