霊長類研究 Supplement
第25回日本霊長類学会大会
セッションID: P-36
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ポスター発表
サバンナに東屋を建て苗木を守る:「緑の回廊プロジェクト」における新たな方法の導入とその効果
*大橋 岳長谷川 亮クルマ マカン松沢 哲郎
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抄録
ギニア共和国ボッソウニンバ地域では1976年以来,野生チンパンジーの調査が継続しておこなわれてきた。長年の研究によって多くの知見が得られてきた一方,チンパンジーは現在13個体しかおらず,存続が極めて危ぶまれている状況にある。研究当初から,移入してボッソウに定着した個体はおらず,ボッソウで出生したメスは性成熟前後に全員消失してきた。結果として個体数が少ないだけでなく高齢化もまた進んでいる。群れ存続のためには他の群れとの交流が不可欠だ。ボッソウからサバンナを隔てて数キロメートルの場所にニンバ山がそびえ,チンパンジーの生息が確認されている。チンパンジーの往来を促進するため,ボッソウとニンバ山とを植林でつなぐ緑の回廊プロジェクトを進めてきた。チンパンジーの糞から採取した種子を用いて苗木を作る。サバンナに苗木を植える作業を地道に継続してきたが,サバンナへ植えかえると枯れてしまうものも多かった。植えかえ時の日射量変化は,苗木に大きなダメージを与える。このような問題を解決するため,2007年8月からサバンナに苗木を日射から守る東屋を建設した。東屋の下にはそれぞれ25本の苗木を設置した。1年を経過して状況を確認したところ,シロアリの被害を受けたものを除くと,おおむね1mを越えて成長していた。このことから,東屋が苗木の生育環境を整えるのに有効だったと考えることができた。また,森林内から実生を運んできて東屋の下に移植したところ,枯れずに定着できることも明らかになった。2008年8月にも新たに15個の東屋を追加し,現在ではサバンナに合計23個の東屋を設置している。これまでの経過とともに現在の状況をあわせて報告したい。
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© 2009 日本霊長類学会
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