霊長類研究 Supplement
第25回日本霊長類学会大会
セッションID: P-40
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ポスター発表
チンパンジーとボノボ:地上性の比較
*竹元 博幸
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抄録
樹上果実量と森林内気温を環境変数として,チンパンジーとボノボの地上利用頻度およびその季節変化を比較した。
西アフリカ・ボッソウ地域とコンゴ・ワンバ地域で,それぞれ1年のうちで雨量が最も多い時期と最も少ない時期と考えられる調査時期を選んだ。地上1.5 mから林冠近くまで10 m間隔の高さに自動温湿度記録計を設置し,10分ごとに気温を記録した。トランセクト上の対象樹に対し果実量を目視で評価(ボッソウ748本,ワンバ104本)し,果実量の相対量を計算した。観察は1日1個体を個体追跡し,周囲にいる個体の行動カテゴリ-と高さ,林冠(樹冠)の高さを10分ごとに記録して,林冠の高さに対する相対的な高さを比較した。樹上果実量,気温測定,個体の観察はボッソウ・ワンバで基本的に全て同じ方法をとっている。
地上利用時間はボッソウが15%(雨季),58%(乾季)と大きく変動するのに対し,ワンバは25%(雨季),26%(乾季)とほとんど変わらなかった。同様に休息時の高さ(林冠高に対する比)の平均もボッソウが0.6(雨季),0.2(乾季)と変化するのに,ワンバは0.5(雨季),0.5(乾季)と変化なしだった。どちらも果実量が多い季節に樹上利用頻度は増えず,採食や休息の高さが高くなる事もない。ワンバの林内平均気温の季節差は2℃以内で小さかった。対してボッソウの気温の季節変化は大きく,林内でより好適な気温を示す高さを利用している傾向が見られた。
今回観察されたボッソウのチンパンジーとワンバのボノボの地上性の違いに関しては,少なくとも果実量よりも気温がより強く影響している可能性が高く,気温の季節差が重要である。このような地上性の違いがチンパンジーとボノボのパーティサイズや採食内容などにどのように影響しているか,吟味する必用がある。
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© 2009 日本霊長類学会
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