霊長類研究 Supplement
第25回日本霊長類学会大会
セッションID: P-41
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ポスター発表
日本国内のテナガザルの飼育の過去と現在
*打越 万喜子松沢 哲郎
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抄録
テナガザル類(Hylobatidae)は類人猿であり,その研究はヒトの生物学的基盤を知るうえできわめて重要である。4属16種に分類されているが,どの種にも絶滅のおそれがある。生息地での保全と研究が重要なのは言うまでもないが,飼育下での研究からライフサイエンスの貴重な資料を得ることができる。本研究では,過去の文献と日本動物園水族館協会の血統登録台帳を基にして,1956年から2007年までの国内テナガザルの情報を整理した。日本では2007年時点で,動物園などの47施設でテナガザル約170個体が飼養されていた。シロテテナガザルが最多で半数近くを占めており,ついでフクロテナガザル・アジルテナガザル・ボウシテナガザル・ミューラーテナガザル・ワウワウテナガザル・ホオジロテナガザルの順になっていた。現在までの個体数の増減であるが,50年代から順調に増加を続けたのはシロテテナガザル1種のみだった。その他の種では,一時は個体数が増加したものの近年では大きく増えないか,減少していた。年齢構成をみると,2007年時点で乳幼児が含まれていた種はシロテテナガザル・フクロテナガザル・ボウシテナガザルの3種のみだった。比較的数の多いシロテテナガザルとフクロテナガザルでは,国内生まれの個体が全体に占める比率が他種よりも高かった。フーロックテナガザルのようにすでに国内からすでに消えた種もあった。年齢や由来などの記録が見つけられない個体,種名の判定が難しいようなケースもあったので,今後,さらに資料を集めて精査したい。
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© 2009 日本霊長類学会
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