霊長類研究 Supplement
第25回日本霊長類学会大会
セッションID: P-42
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ポスター発表
共同繁殖種コモンマーモセットの子育て期前後における父親の体重変化
*立田 委久子沓掛 展之川?ア 章弘横山 ちひろ尾上 浩隆長谷川 眞理子
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抄録
コモンマーモセットは,ヒト以外の霊長類では珍しい共同繁殖を行う新世界ザルの一種である。共同繁殖とは,母親だけでなく他の血縁グループメンバーが協力して子育てをする繁殖システムのことである。コモンマーモセットの妊娠期間は約5ヶ月間で,母親は自身の体重の10%程度の大きなコドモを通常二子出産する。母親は出産後すぐに次の妊娠が可能となり子育て期間中に次の妊娠をする。また樹上生活種であるために,常にコドモを抱いて運搬する必要がある。このように子育てのコストが大変大きいため,父親や兄姉個体が参加する共同繁殖の習性が,コドモの生存率の維持と関連していると考えられている。
本研究では,共同繁殖種コモンマーモセットの子育てのエネルギーコストに関連する指標として,ペアメスの出産前後におけるオスの体重変化に注目した。対象は兄姉ヘルパーのいない状態でペア飼育されている繁殖用コモンマーモセットのオス個体(N=6)である。2006年6月から2009年3月まで毎週測定されている体重データを用いて,一般線形モデル(GLM)により統計解析を行なった。
その結果,オスの体重は,ペアメスの出産に向けて増加し,出産後子育てが始まっても変化しないことがわかった。またこの出産後の体重変化は,子の数,子育て経験,健康度,ペアメスの体重に関連していなかった。しかし,子背負い行動の量(背負い時間×子の体重)を測定したデータセットの解析から,オスの体重は子育て期間初期に減少し,その減少の度合いと子背負い行動の量の関係が週数によって異なることがわかった。
先行研究では,コモンマーモセットの父親はペアメス出産の前に体重を増やし,子育て期間中に体重を減らさないことが報告されている。今回,オスの子背負い行動量を考慮することにより,子育て期間初期はオスの体重減少があることが明らかになった。
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© 2009 日本霊長類学会
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