霊長類研究 Supplement
第27回日本霊長類学会大会
セッションID: P-53
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ポスター発表
コモンマーモセットの子育て行動の個体差がコドモの成長に及ぼす影響
*立田 委久子沓掛 展之川崎 章弘横山 ちひろ尾上 浩隆長谷川 眞理子
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抄録
 一夫一妻の共同繁殖種であるコモンマーモセットは、樹上生活者であり、通常双子で生まれるコドモの合計体重が親の体重の20%もあることから、子育てには大きなコストがかかるとされている。群内では親以外のヘルパーも子育てに参加するが、とりわけ離乳期まではオス親が子育てに大きく貢献するといわれている。
 子育て期間中にもっとも頻繁にみられ、かつコストの大きいとされる行動は、親がコドモを抱くCarryingである。だが、その他にもGroomingやRetrieval(抱き寄せ)、Interest(興味を示す身体接触)、Food Sharingなどの行動もみられる。子育てコストが非常に大きく、しかも子育て期間中の行動がバラエティに富んでいることから、世話個体が協力し合って行なう共同繁殖の習性が、コドモの生存率の維持と関連していると考えられている。
 本研究では、オスを中心とした子育てコストをふまえた上で、コモンマーモセットの世話個体の子育て期の行動、及びその個体差によるコドモの発達への影響に注目した。対象は兄姉ヘルパーのいない状態でペア飼育されている繁殖用コモンマーモセットのペア及びそのコドモである(N=14 ペア数)。2009年6月から2010年3月までの2度の出産シーズンにおいて、離乳までの子育て期間内(出産後8週間)におけるケージ内の各個体の子育て行動の個体差とコドモの体重推移との関係を調べた。
 その結果、オス親からコドモ及びメス親へのGroomingの時間、またオス親からコドモへのInterestの回数がコドモの成長率と関連していることがわかった。
 コドモや授乳期であるメス親へのオス親による積極的な関心行動が、コドモの発達に何らかの影響を及ぼしていると考えられる。つまり、家族間のコミュニケーションが頻繁なケージほどコドモの成長率が高い傾向がみられ、ヒトとの相似性も考えられる。
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© 2011 日本霊長類学会
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