霊長類研究 Supplement
第27回日本霊長類学会大会
セッションID: B-12
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口頭発表
ニホンザルのメスは遺伝的に異なるオスと繁殖しているか?
*井上 英治中川 尚史風張 喜子井上-村山 美穂
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抄録
目的:霊長類において母系の血縁者間での交配回避や親和行動についてはよく研究されてきたが、最近になり、数種の霊長類において、父系血縁者間での親和行動が多いという報告や、父系の血縁者間で交配を回避しているという報告がなさられるようになってきた。しかし、父系血縁者偏向行動については統一的な結果が得られていない。繁殖においては行動面での回避に加え、メスが交尾後の選択として遺伝的に異なるオスの精子を選択している可能性も考えられている。本発表では、ニホンザルの繁殖ペアの血縁度に着目し、血縁の遠い相手と繁殖を行なっているかを検証した。
方法:嵐山E群、金華山A群において、毛または糞からDNAを抽出し、マイクロサテライト11領域(嵐山)、15領域(金華山)を解析し、父子判定を行ない、父親が決定できた20ペア(嵐山)、8ペア(金華山)を対象に解析を行なった。マイクロサテライトのデータをもとにRelatednessで血縁度を推定し、嵐山、金華山それぞれで、すべてのオスメスペアの血縁度と繁殖ペアの血縁度の差を、Permutation Testで比較した。
結果:繁殖ペアの血縁度は、-0.08(嵐山)、-0.11(金華山)であり、オスメスペアの平均血縁度、-0.01(嵐山)、-0.04(金華山)と比べ、両集団ともわずかに低い値であったが、有意差は検出されなかった(嵐山:P=0.12、金華山:P=0.44)。また、推定血縁度が0.25以上のペアは、嵐山での1ペアのみであった。
考察:繁殖ペアは、オスメスペアの平均と変わらない値であったことから、血縁度から見ると繁殖はランダムに起こっていると考えられる。繁殖ペア内に血縁度の高いペアがほとんど含まれていなかったことから、血縁度の高いペア間での繁殖を避けていることも考えられるが、交尾後の選択も含めて、積極的に遺伝的に異なる相手を選択しているわけではないと言える。
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© 2011 日本霊長類学会
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