霊長類研究 Supplement
第28回日本霊長類学会大会
セッションID: P-42
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ポスター発表
タイのヒガシアッサムモンキーの交尾行動とコンソート関係
*小川 秀司Malaivijitnond Suchinda濱田 穣
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抄録
 ヒガシアッサムモンキー(Macaca assamensis assamensis)の交尾戦略を調べるため,タイ北部のWat Tham Plaで,2008年12月25日~翌年1月9日に複雄複雌の餌付け4群を撮影した.また2010年12月23日~翌年1月8日と2011年12月31日~翌年1月13日には個体識別をして個体追跡した.オスは1度のマウントで射精した.撮影した20回の交尾では,ペニスの挿入は3.1~23.6(平均7.8)秒,スラストは3~41(平均16.1)回だった.3例の交尾後には1分以内に再び交尾が行われた.5頭を各10時間追跡すると,オスは1時間に平均0.6回,1位オスは1.1回も交尾していた.交尾前にはオスが近づく事が逆より多かった.オスは1時間に平均0.7回,1位オスは3.0回メスに接近した.メスはその68.5%でオスを避けたが,31.5%で交尾を受け入れた.交尾の43%では射精後ペニスが挿入されたまま動かない状態が続いた.この時には他個体が近づき交尾個体の顔等を覗いたり叩こうとした.交尾後83.6%では交尾個体同士は1分以内に1mの近接から離れた.メスが離れる事が逆より多かった.オスは自分のコンソートメスについて行き5m以内の近接を維持しようとしていた.オスはそのメスとの交尾を頻繁に試みたが,近くの他のメスとも交尾した.オスは優位オスの前では交尾を控えた.劣位オスの交尾を見つけたオスは,攻撃して交尾を妨害するか,交尾していたメスと交尾した.メスは発情の形態的変化は示さないが,オスはメスの陰部の匂いを嗅いだりしていた.高順位オスはコンソートによって妊娠可能性の高いメスをガードしようとし,メスは子殺し防止ために父性を攪乱しようと複数オスと交尾するのかもしれない.アッサムモンキーでは低順位オスも射精に至る交尾をすばやく多く行うため,精子競争が強く働いていると考えられた.
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© 2012 日本霊長類学会
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