霊長類研究 Supplement
第28回日本霊長類学会大会
セッションID: A-18
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口頭発表
ニホンザルとクモザルのサブグルーピングの比較
*杉浦 秀樹下岡 ゆき子Di Fiore Anthony辻 大和LINK Andre's LINK
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抄録

ニホンザルはまとまりの良い群れをつくるが、まれに、群れが2つ以上に分かれて独立に移動するサブグルーピングもおきる。クモザルは離合集散型の社会を持っていると言われ、サブグルーピングが頻繁に起きる。両者のサブグルーピング行動を比較し、両者の特徴を明らかにした。2名の観察者による同時個体追跡を行い、2個体間の水平距離を連続的に記録した。両種とも、100m前後までにまとまった分布があり、群れがまとまっている状態であると考えられる。それより長い距離では、裾野の長い分布になり、両種とも1km以上に達した。これらはサブグルーピングの状態であると考えられる。群れがまとまっていると考えられる状態では、両種とも個体間距離が離れた後に距離が縮まる傾向があり、群れの凝集性を保とうとしていることが示唆された。しかし、サブグルーピングをしていると考えられる状態では、このような傾向はなく、2個体間の動きはお互いに関連がなかった。群れが2つに分かれていく過程を見ると、ニホンザルは2個体共に、移動が速いことが多い傾向があった。しかし、クモザルでは必ずしもそうではなく、片方がほとんど移動しない時に、片方が一方的に離れていくこともあった。両種のサブグルーピングの共通点と相違点を議論する。

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© 2012 日本霊長類学会
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