抄録
1970年代末頃から金華山や屋久島で餌付けなしの観察が可能になるにしたがって,「餌付けは止めよう」という声が高まってきた。1996年のPSJ大阪大会の自由集会はその頂点だった。その後も餌付けのもたらした罪ばかりが喧伝され,その霊長類学に果たした,そして今も果たしている役割が軽視される傾向にある。もう一度餌付けのもたらした功罪を明らかにして,これからの霊長類学における役割を明らかにしたいと思う。その第1回の集まりとして,各地の餌付け個体群でどんな研究が行われてきたかを中心に検討する。
1.霊長類学の勃興と餌付けの果たした功績(杉山幸丸)
2.幸島でどんな研究が行われてきたか(渡邊邦夫)
3.高崎山でどんな研究が行われてきたか(栗田博之)
4.勝山でどんな研究が行われてきたか(中道正之)
5.嵐山でどんな研究が行われてきたか(Mike Huffman)
6.餌付けのもたらした問題点(杉山幸丸)