霊長類研究 Supplement
第28回日本霊長類学会大会
セッションID: B-18
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口頭発表
中国南部の前期更新世の洞窟堆積物から出土したギガントピテクス大臼歯のエナメル分布形状分析
*河野 礼子張 穎奇金 昌柱高井 正成諏訪 元
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抄録
 更新世の中国南部からベトナムにかけて数十万年前まで生息した類人猿,ギガントピテクスGigantopithecusは,もっとも最近になって絶滅した大型の類人猿であり,ヒト化石とも共伴することがしばしば指摘されてきた。アジアのヒトと類人猿の進化を考える上でギガントピテクスの生態や系統的位置を解明する意義は大きい。ギガントピテクス化石はその大半が遊離歯であるため,歯の形態に基づいて食性や系統を吟味検討していく必要がある。またギガントピテクスは史上最大の歯を持つ類人猿であり、歯の構造と機能の関連を追及する上でも非常に興味深い研究対象である。本研究では,広西壮族自治区崇左地域の三合大洞洞窟の前期更新世の堆積物(約120万年前)から発見されたギガントピテクスの大臼歯化石を対象に,マイクロCTにより三次元形状をデジタル再構築し,歯冠形状やエナメル質分布の特徴を数量的に評価した。その結果,歯冠全体の相対的なエナメル厚さは現生のヒトと同程度であるが,歯冠が高いために全体としてのエナメル量は相当のものであり,特に咬合面窩のエナメル質が著しく厚いことなどがあきらかとなった。ギガントピテクス大臼歯の高さは,いわゆる機能咬頭側で顕著に高くなっていることなどから,ギガントピテクス大臼歯においては頬側・舌側の機能的勾配が明瞭であるなど,同じように大型でエナメル量の多い頑丈型猿人の大臼歯とは,咀嚼機能自体が異なっていた可能性も示唆された。
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© 2012 日本霊長類学会
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