霊長類研究 Supplement
第28回日本霊長類学会大会
セッションID: B-19
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口頭発表
ナカリ出土の類人猿足根骨について
*中務 真人國松 豊仲谷 英夫酒井 哲弥實吉 玄貴沢田 順弘
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抄録
 ケニアのナカリ地域(980-990万年前)で行っているケニア国立博物館との共同発掘調査について報告する。これまでナカリからは、大型類人猿ナカリピテクスが発見され、やや小型である別種の大型類人猿の存在も示唆されている。ナカリピテクスは顎骨と歯牙しか知られていないが、ナカリでは、保存状態が悪いとはいえ、大型類人猿らしい四肢骨化石も若干発見されている。この発表では、そのうち異なるサイトで発見された二つの足根骨化石、左内側楔状骨と右距骨について報告する。内側楔状骨はナカリピテクスの発掘サイトで得られた。雄のプロコンスル程度の大きさで、近位部が破損し、第一中足骨と関節する遠位部は内外側方向に圧迫変形している。関節面の特徴的な点は、内側面において足背部関節面の広がりが強い点である。内側楔状骨がどのような関節位置をとったか不明なため予備的ではあるが、母趾列の外転範囲はかなり広かったと考えられる。距骨は雄のプロコンスルよりもやや小型で、滑車のみを残し、足底部の内側半分は壊れ、滑車縁は内外側とも風化摩耗している。滑車の形状は前・中期のアフリカ類人猿に似ていて、上関節面の凹度は強く、外側縁が内側縁よりも高い。一方、全体的なサイズから見ると滑車高が他の化石類人猿より大きい。また足底面に位置する後関節面の弯曲度(凹度)が弱く、後関節面の長軸と滑車上関節面の長軸がなす角度が小さい。弯曲の弱さは、距踵関節がそれほど大きな可動範囲をもたなかったこと、後関節面の方向は距腿関節に対して足軸が外側を向いていた程度が強かったことを示唆する。推測される機能は、少なくとも地上運動への特殊化とは相容れないと考えられる。これら足根骨の帰属を明らかにするには、さらなる資料が必要である。この研究は科研費 #22255006の補助を受けた。
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© 2012 日本霊長類学会
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