霊長類研究 Supplement
第28回日本霊長類学会大会
セッションID: B-20
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口頭発表
ケニヤ北部ナチョラから見つかった中期中新世の原猿化石について
*國松 豊中務 真人辻川 寛中野 良彦清水 大輔菊池 泰弘荻原 直道高野 智石田 英實
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抄録
 ケニヤ北部に位置するナチョラ地域は、中新世中期(約1500万年前)の脊椎動物化石、特に霊長類化石を多数産出することで知られている。ナチョラから産出する霊長類化石の大部分は、比較的大型の化石類人猿であるNacholapithecus kerioiに同定されるが、その他に、中新世小型「類人猿」(非オナガザル上科小型狭鼻猿)であるNyanzapithecus harrisoni、原始的オナガザル上科のヴィクトリアピテクス科の標本がいくつか見つかっている。これらの真猿類化石に加えて、ナチョラの霊長類化石資料のなかには、原猿類ガラゴ科の絶滅属であるKomba属の一種と考えられる下顎片も知られていた。今回は、さらに、ナチョラから発見された、これとは別の原猿類の上顎標本について報告する。この上顎標本は大臼歯のサイズでみると、Komba sp.とした上記の下顎標本よりかなり大きく(推定体重で2倍強)、咬頭は比較的鈍くて低い。中新世の東アフリカから知られている化石原猿類にはガラゴ科のKomba属とProgalago属、ロリス科のMioeuoticus属が知られている。ナチョラ出土の上顎標本では、咬合面から見た上顎大臼歯の歯冠輪郭が長方形に近く、Komba属やProgalago属に見られる、より非対称的で歯冠遠心縁が近心方向にへこむ大臼歯とは異なっており、これまでに知られているMioeuoticus属のものとよく似ている。Mioeuoticus属には、ウガンダのナパク(約1900万年前)のM. bishopiと、ケニヤ西部のルシンガ島(約1800万年前)のM. shipmaniが知られているが、ナチョラの上顎標本は歯のサイズやプロポーションなどの点で、これら2種とはやや異なる特徴も見られ、別種である可能性が考えられる。本研究は科学研究費補助金(#20247033)の助成で遂行された。
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© 2012 日本霊長類学会
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