霊長類研究 Supplement
第28回日本霊長類学会大会
セッションID: P-29
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ポスター発表
カニクイザルにおけるMRIを用いた移植細胞の動態追跡に関する研究
*伊藤 康世鯉江 洋柴田 宏昭岡林 佐知片貝 祐子大野 智恵子金山 喜一保富 康宏揚山 直英
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抄録
【背景および目的】現在、ヒトの医療においては、冠動脈症候群やバージャー病等の虚血性疾患に対して、幹細胞移植による再生医療の臨床応用が注目され、実際に局所の血流や機能の改善も確認されつつある。一方その安全性や毒性を評価する事も重要視され、その方法の一つとして、MRIによる磁性体標識細胞の追跡法があげられる。そこで、今回我々は、再生医療における治療機序解明やその安全性評価系を構築する目的で、ヒトに最も近縁な霊長類であるカニクイザルにおいて、MRIと磁性体標識移植細胞を用いた体内動態追跡法(以下、セルトラッキングシステム)の検討を行った。
【材料と方法】カニクイザルの末梢血より分離した有核細胞に対し、蛍光色素を含む磁性体にて細胞標識を行い、免疫染色にてその条件検討を行った。次いで、その標識細胞をin vitroにてカニクイザルの心臓に、in vivoにてカニクイザルの腓腹筋に移植し、3テスラのMRI装置を用いて、T1およびT2強調画像で移植直後の撮像を行った。また、腓腹筋においては長期的な移植細胞の体内セルトラッキングを目的として、7日後のMRI撮像も行った。
【結果】免疫染色により、標識方法の至適条件や有効性と共に、磁性体標識した細胞がマクロファージであることが確認できた。また、移植直後の心臓および腓腹筋のMRI画像、7日後の腓腹筋MRI画像により、全ての移植部位での標識細胞のシグナルを検出することができ、これによって標識細胞の残留が確認された。本実験の期間中、用いた個体に健康上の問題はなく、安全に磁性体標識移植細胞の体内セルトラッキングを行うことができた。
【考察】本研究により、再生医療の安全性評価方法としての磁性体標識移植細胞によるセルトラッキングシステムを霊長類において初めて樹立した。さらに本研究を継続し、細胞移植による再生医療の機序解明も目指す。
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© 2012 日本霊長類学会
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