霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: P-1
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ポスター発表
ゴマフアザラシ Phoca larghaの雌雄および成長に伴う骨盤形態の変化
*梶村 美帆*大塚 健斗*小林 万里
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抄録
 北海道沿岸に来遊するゴマフアザラシは性的二型が少なく,外部形態からの性判別は困難であり,性判別は一般的に生殖器を用いて行われる.しかし,死後長時間が経過した漂着個体では,他の動物に食い荒らされ,生殖器などの軟組織が生存時の状態で残存していない事も多くある.このため本研究では,ゴマフアザラシの骨盤形態の雌雄差を明らかにし,その形態から性判別する事を目標とした.
 2006年から 2013年に北海道近海で収集されたゴマフアザラシ 181個体(雄 :97個体,雌 :81個体)の骨盤 10箇所,寛骨 11箇所の計 21箇所について計測・分析した.骨盤では骨盤長に,寛骨では寛骨長に対する各計測部位の相対成長式を用い,性別・成長段階を要因とした 4つのモデルを作成し,AICを基準とした部位ごとの最良モデルのうち,性を要因に含むモデルが選択された部位から性判別が可能か調べた.さらに,ステップワイズ法によって性判別に必要な部位を絞り込み,それらの部位から性判別が可能か検討した.
 骨盤では,恥骨結合部以外の恥骨周辺部位において成長段階に関わらず雌の成長率が雄より高く,雌の恥骨結合部の成長率が常に低かったため,雌の骨盤腔は雄より空間的に広く,性によって構造に根本的な違いがあると示唆された.また,これらの部位は最良モデルとして性を要因に含むモデルが選択された.ステップワイズ法によって恥骨の広がりと恥骨結合部の長さ,坐骨角が選択され,この3箇所からの性に対する誤判別率が最も低く,性判別に必要な部位が絞り込まれた.寛骨においてもステップワイズ法による性判別要因の絞り込みを行ったが,要因数が骨盤の場合より多く,誤判別率が骨盤よりかなり高かったことから,本研究で計測した部位・方法では寛骨のみからの性判別は困難であると考えられ,寛骨においては今後,さらに計測部位・方法を検討していく必要がある.
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© 2013 日本霊長類学会
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