霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: P-66
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ポスター発表
埼玉県内のヤマコウモリの日中活動について
*大沢 啓子*佐藤 顕義*大沢 夕志*勝田 節子
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抄録

 食虫性コウモリ類は,一般に夜間に活動をし,夜行性(正の走光性)の昆虫類等を捕食しているとされているが,一部の種では日中も飛翔活動をしていることが報告されており,国内ではヤマコウモリ Nyctalus aviatorの日中飛翔の例が比較的多く報告されている.
 筆者らは埼玉県内におけるヤマコウモリの日中飛翔の事例を集めるとともに,2012年 11月および2013年 3月から 4月にかけて,埼玉県熊谷市における冬季ねぐらにおいて,日中から夕刻における活動状況の調査を行った.
 その結果,埼玉県内においては,これまで 11月にヤマコウモリと考えられるコウモリの日中飛翔の事例がバードウォッチャーらによって観察されていた.熊谷市におけるねぐらの調査では,11月中旬および 3月上旬から 4月上旬の特定の日に,昼前後にねぐらから出巣することが明らかになり,ねぐら内の個体数のおよそ 3分の 1が出巣する日もあった.また,飛翔時の観察において採餌行動を目視し,さらに,日中に帰巣したねぐらの下から採集した糞を分析した結果,カゲロウ目・トンボ目・バッタ目・カメムシ目・コウチュウ目・ハチ目・ハエ目・トビケラ目・チョウ目の計 9目の昆虫類を確認し,その一部に昼行性(負の走光性)の昆虫類(トンボ目・バッタ目・ハエ目ハナアブ科等)を確認したことから,ヤマコウモリが日中においても採餌飛翔を行っていることを明らかにした.

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© 2013 日本霊長類学会
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