霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: P-167
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ポスター発表
マカク性皮の紅潮は血管動態の影響を受ける
*小野 英理*鈴木 樹理*石田 貴文
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抄録
 霊長類では繁殖期にメスの臀部性皮に変化の見られる種がある.その外見上の変化は腫脹と色変化に分けられ,性ホルモンの調節を受けると考えられるが,依然として機序は不明である.我々はマカク性皮の紅潮に着目し,色変化をもたらす組織学的背景を調べた.非繁殖期(2011年 7月 , 2012年 8月)と繁殖期(2011年 10月 , 2012年 11月)に京都大学霊長類研究所のアカゲザル Macaca mulatta16頭とニホンザル Macaca fuscata15頭を対象とし,測色計によって性皮色変化を評価した(CIELab色空間:明暗軸L*,赤緑軸a*,黄青軸b*).平均的にニホンザルの性皮色はアカゲザルに比べて暗く(t検定,P<0.01)かつ赤かった(P<0.05).皮膚色変化はヒトで調べられており血管と色素が影響する.そのため測色の直後に性皮を採取して組織切片を作製し,HE染色と Fontana-Masson染色を行った.画像解析により表皮付近の血管数とメラニン量を計測し色値との相関を調べた(ピアソンの相関係数).その結果,アカゲザルは非繁殖期に血管数とL*(r=-0.84, P<0.001),a*(r=0.81, P<0.001),繁殖期に血管数とa*(r=0.57, P< 0.05)の相関が見られた.一方,メラニン量と a*の相関が非繁殖期のみに見られた(r=-0.56, P<0.05).ニホンザルでは繁殖期に血管数とL*(r=-0.59, P<0.05),b*(r=0.54, P<0.05)の相関が見られた一方,非繁殖期では相関は見られなかった.結果から血管数と色値の相関に種差が認められた.先行研究から a*はヘモグロビンの酸化程度,b*は血液量に影響されることから,近縁なマカク2種において異なる血管動態が性皮色の差異に影響することが示唆された.
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© 2013 日本霊長類学会
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