霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: P-209
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ポスター発表
餌付け群のニホンザル ( Macaca fuscata ) における塩酸メデオミジ―塩酸ミダゾラムによる不動化:心拍数・呼吸数・体温の季節差
*加藤 卓也*石井 奈緒美*竹節 治夫*田中 伊知郎*羽山 伸一
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抄録
 野生動物に対する安全な化学的不動化薬の選択は重要であるが,ニホンザル(Macaca fuscata)においても,行動追跡用発信機の装着時など化学的不動化を要する機会は多い.これまで塩酸ケタミンが一般的に使用されていたが,2007年に麻薬指定されたことから代替可能な薬が求められている.飼育下では,塩酸ミダゾラム単体または塩酸メデトミジンとの混合投与(以下,M-M混合投与)の適用が報告されている.しかし,餌付け群および野生群については,代替薬に関する詳細な報告はなされていない. 本研究では,餌付け群のニホンザルに M-M混合投与を行い,導入時間,導入後の心拍数,呼吸数,体温の経時的変化を明らかにすることを目的とした.また,これらの項目に夏季と冬季の間で,季節的な影響が存在するか否かを調べた. 2010年から 2011年までの期間に,地獄谷野猿公苑でニホンザルの捕獲調査を実施した.捕獲した個体に,塩酸ミダゾラム 0.42 ± 0.03 mg/kg (mean ±SD)と塩酸メデトミジン 0.20 ± 0.01 mg/kgを混合投与した.2歳から 6歳までの計 16頭を解析の対象とし,投与から導入までの所要時間,導入後の心拍数・呼吸数・体温を,投与から 10分,20分,30分,40分まで 10分毎に記録した.8月を夏季(n=10),10月および 12月を冬季(n=6)として設定した. 導入時間は,夏季が 4.0 ± 1.5分 (mean ±SD),冬季が 4.0 ± 0.9分で季節差は認められなかった.心拍数と呼吸数は,経時的に減少する傾向はみられたが,一時上昇する個体も存在した.他方,体温は,いずれの季節も経時的に減少することが明らかとなった.さらに,体温の減少は,夏季より冬季のほうが顕著に認められた.以上の結果は,塩酸メデトミジンまたは塩酸ミダゾラムの薬剤特性が影響していると考えられ,現場で使用する際は素早い導入を期待できるものの,不動化時の各種モニタリングに留意する必要がある.
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© 2013 日本霊長類学会
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