霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: P-217
会議情報

ポスター発表
四国におけるアライグマの分布拡大状況
*金城 芳典
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
 四国におけるアライグマの分布状況については,発表者らが 2006年に調査を実施している(金城・谷地森,2007).その結果から,アライグマは香川県東部を中心として,徳島県の吉野川北岸まで分布していることが分かっている.また,香川県では自然繁殖しており,徳島県でもその可能性が高いことが確認されている.2006年時点では,愛媛県および高知県では自然繁殖は確認されておらず,また,野外での確実な確認情報は少なかった.しかし,ここ数年,アライグマの野外での確認情報が増加している.外来生物への対策を検討する際,対象となる生物の分布状況を把握することは大変重要である.また,分布状況は継時的に変化するので,継続的に把握することが必要である.そこで本研究は,アライグマの四国における分布拡大状況について把握し,アライグマ対策を効果的に実施するための基礎資料とすることを目的に実施した. 四国におけるアライグマの現在の分布状況を把握するため, 2006年以降に得られた情報を整理した.整理した情報は,捕獲記録,目撃記録および文献情報である.目撃記録については,写真があるものや,尾のリングを確認するなど,確実にアライグマであると考えられるものだけを整理した.その結果,四国におけるアライグマの分布は 2006年時点と比較して西側に分布が拡大していることが確認された.県別に見ると,香川県では県西部での捕獲地点が増加していた.徳島県は大幅な分布拡大の傾向は見られなかった.高知県では確実な野外確認の情報は得られなかったが,愛媛県では東温市でアライグマが撮影された他,四国中央市,新居浜市および西条市の香川県境に近い3市でアライグマが捕獲された.発表では現時点での分布状況に加え,分布拡大速度などについても検討したい.
著者関連情報
© 2013 日本霊長類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top