抄録
本研究では 1891~ 2007年に発行された狩猟雑誌(猟之友,銃猟界,狩猟と畜犬,狩猟界)と,1927~ 2012年に発行された鳥獣関連書籍を用いて,記事内容の時代変化を調査した.狩猟雑誌については,上記期間に発行された各誌から約 5年ごとに 3~ 6冊(計 90冊)を抽出して記事総数を数え,見出しと記事内容から宣伝記事,狩猟記事,飼育記事に大別した.鳥獣関連書籍としては,出版年鑑を 5年ごと(1990年以降は約 3年ごと)に調べ,その中から畜産業・獣医学に分類された単行本 2,806冊を調査対象とした.
狩猟雑誌の 1冊あたり総ページ数をみると 1968年が最も多く,以降はゆるやかに減少した.宣伝記事では 1950年代から 1970年代までは銃器に関するものが最も多かったが,2000年代からは猟用ワナの宣伝が最多となった.狩猟方法の紹介記事は 1950年代までは鳥類が主だったが,1980年代からは哺乳類の方が多くなり,とりわけ 1990年代以降はシカ・イノシシの狩猟方法が 8割強を占めた.調査対象の書籍中における野生動物は,毛皮獣として数冊確認されたのみであり,野生動物を愛玩目的で扱った書籍はなかった.野鳥に関わる単行本は 23冊確認され,ほぼ全てが愛玩目的の書籍であった.1960年代までのこれらの書籍は野鳥の捕獲・繁殖方法が主に掲載されていたが,1970年代に入ると野鳥を庭に呼び込む内容に変化し,1990年代には洋鳥の飼育法が多くなった.愛玩動物に関する単行本は 1990年代に入ってから急激に増加して 2007年には 250冊を超えたが,そのほとんどがイヌの書籍であった.以上のことから,狩猟雑誌における記事数や内容は狩猟人口の変遷や獣害の発生頻度を反映していることが,また単行本からは愛玩飼育の時代傾向を知ることができた.