抄録
野外調査において、フィールドノートへの記録は筆記時間がかかり、特にFocal animal sampling法ですべての行動を記録するのは著しく困難である。このため行動観察記録ソフトウェアを載せたタブレットPCやスマートフォンが使用されるようになってきた。また対象個体の行動と同時に個体間相互作用を記録することも困難なため、ウェアラブルカメラの使用が考えられる。今回、タブレットPCとウェアラブルカメラを用いてマカクの尾の行動記録を試みたので、その技術に関して報告する。機材の選定は長時間駆動、軽量・小型、防水・防塵を重視した。
〔使用機材・方法〕タブレットPC(Lenovo Miix 2 8、Windows 8)とウェアラブルカメラ(SonyアクションカムHDR-AS15)を用いた。タブレットPCへの入力はExcelを使用し、セルに行動データを入力するとその時刻を秒単位で記録する時間入力マクロを用いた。ウェアラブルカメラは頭に装着し、観察中の視線とほぼ同じ視野を撮影した。個体情報として性別、年齢層、順位、発情の有無を記載し、5~10分間Focal animal samplingを行った。行動記録は、尾の位置(脊椎に対して水平、垂直、背方向屈曲、脱力、各左右)と姿勢(座る、立つ、歩く、寝そべる)、行動(食べる、休む、あくび、注視、毛づくろい、スクラッチ、威嚇)の三カテゴリーをそれぞれアルファベットに置き換えセルに入力した。
〔結果〕最記録時間による観察ロスはほぼ解消された。尾の動きは比較的早い動作だが、時刻と事象の記録を素早くとれた。データはコンピュータに移して、解析が可能である。アクションカムは視野が170°で周辺個体との相互作用の記録に役立ち、尾の動きと同調して起こる鳴き声や、周辺個体の接近などを記録できた。一方、観察対象の各個体は、小さく映し出されるため、その詳細な行動記録には不向きであった。