霊長類研究 Supplement
第30回日本霊長類学会大会
セッションID: B2
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口頭発表
ニホンザル足筋の筋線維タイプ構成
*小島 龍平*中島 由加里*山崎 拓弥*時田 幸之輔
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抄録
ニホンザル足筋の筋線維タイプ構成を検索し,機能形態学的な考察を試みた.骨格筋試料は,10%ホルマリンを総頚動脈より注入して固定し同液中に約15年間保存してきたニホンザル(Macaca fuscata)雌成獣1頭の標本より採取した.右足部を肉眼的に解剖し,起始停止を確認し,筋の同定を行いながら筋腹全体を採取した.各筋の湿重量を計測した後,最大筋腹部で切片作製用ブロックを切り出し,凍結連続切片を薄切し,抗速筋型MHC抗体(clone MY-32,Sigma)および抗遅筋型MHC抗体(clone NOQ7.5.4D,Sigma)を用いて免疫組織化学染色を施し,筋線維タイプ構成を求めた.また,下腿から起こり足趾に停止する筋も採取し湿重量を計測した.下腿から起こり足趾に停止する筋の湿重量の合計は30.3gであったのに対し足筋の湿重量の合計は16.22gであった.下腿筋と足筋を合わせた足趾の伸筋群の湿重量の合計が9.1gであったのに対し,屈筋群の湿重量の合計は37.3gであり,屈筋優位であった.筋線維タイプ構成を全筋線維数に対する遅筋線維の数比(%ST)でみると,大部分の足筋の%STは30%以下であり,速筋線維優位の筋線維タイプ構成を示した.特に足底方形筋(3.8%),第4趾に停止する短指伸筋(6.2%),小指外転筋(6.9%)は著しく速筋優位の筋線維タイプ構成を示した.これらの中で虫様筋は比較的遅筋線維の割合が高く,特に第1虫様筋の%STは46.2%と足筋の中で最も高い値を示し,湿重量は0.03gと著しく小さく,また,定量的な解析をしていないが筋紡錘が多く観察され特異な形態を示していた.足趾の屈曲ないしは伸展の筋力の多くは下腿の筋が分担し,足筋は比較的短時間の収縮を行いながら,関節肢位の調節に働くと推測した.さらに足筋の形態学的特性と足部の働きの関係について考察をすすめたい.
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© 2014 日本霊長類学会
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