霊長類研究 Supplement
第30回日本霊長類学会大会
セッションID: B6
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口頭発表
ニホンザル(Macaca fuscata)における移動速度と足部の接地部位の関係について
*後藤 遼佑*日暮 泰男*熊倉 博雄
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抄録
霊長類はロコモーション時の状況に応じて手足の着き方を柔軟に変化させる。サル類のなかにはロコモーションの速度が遅いと後足部が支持基体と接触するが、速度が速いと後足部が接地しない種が存在する。このことから、足部の着き方を変化させる要因の一つとして移動速度の影響が指摘されている。移動速度が速くなると広い足底面を接地する時間的猶予がなくなることが原因であるとされる。しかしながら、手部の着き方に関する研究ではロコモーションの速度が速くなると接地面積が拡大するという報告もある。移動速度が手足の着き方を変化させる詳細なメカニズムは現在のところ明らかではない。
本研究では四足ロコモーションの速度と足部の着き方の関係を明らかにすることを目的として、ニホンザル(Macaca fuscata)が様々な速度で移動した際の後肢の運動と足部の接地の仕方に関するデータを収集した。具体的には、おおよそ毎秒1.5mから毎秒3.0mの範囲でニホンザルが四足歩行もしくは走行した際の着地時のプロトラクション角度と離地時のリトラクション角度、足部の各領域(前足部、中足部、母指)の接地面積を計測した。
ニホンザルは遅いロコモーションでは前足部と中足部、母指を接地させた。しかし、速度が速くなると場合によって後肢のプロトラクション角度が減少し、中足部が接地しなくなった。これらの結果から、足部の着き方と直接的に関係する要因はプロトラクション角度であり、プロトラクション角度は移動速度の影響を受けることが示唆された。中足部が接地しない接地パターン自体が機能的意味を持つ可能性は低く、足部の着地位置の変化に付随する現象として解釈された。
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© 2014 日本霊長類学会
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