霊長類研究 Supplement
第30回日本霊長類学会大会
セッションID: B7
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口頭発表
大型類人猿とヒトにおける胎児期を含めた骨格の比較発生研究
*中務 真人*森本 直記*山田 重人*荻原 直道
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抄録
現生大型類人猿は、互いに類似した四肢・体幹骨格をもち、それらは、懸垂運動あるいは垂直木登りに適応した結果だと考えられている。これらの特徴が、共通の進化的起源に由来するのか、各系統において独立に平行進化したのかは、チンパンジー・ヒトの最後の共通祖先像に関わる重要な点であるが、激しい議論が続いている。この解決には、さらなる化石証拠の蓄積と分析が必要である一方、現生種資料から形質の相同性を検討する努力も重要である。現生類人猿の骨格を精査すると、それぞれの系統ごとに微妙に独特な特徴が認められる。この点は、そうした類似性が平行進化の産物であることを示唆するように見えるが、共通祖先由来の相同特徴を基本に、各系統で若干の進化的修正が加わった可能性も除外できない。これまでの研究は、この問題を解決できなかった。そこで、われわれは骨格特徴の相同性を発生過程から分析する計画をたてた。胎児期から生後の成長期にわたるヒトと類人猿の標本をCT撮像し、バーチャル解剖により、成体のもつ骨格特徴の形成過程を明らかにし、その進化的起源の共通性を検討する。派生的形態特徴は、発生プログラムの改変によって生じる。特に、胎児期の初期成長は形態形成に決定的な影響を与えると考えられている。ヒト・大型類人猿の胎児期における形態形成と、全成長期にわたる形態の発生パターンの比較は、ほとんど未知の領域である。われわれは2014年より3年間、科学研究費補助金(基盤研究(A)26251048)によりこの研究を推進する。この発表では、その計画の具体的内容と展望を紹介する。
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© 2014 日本霊長類学会
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