霊長類研究 Supplement
第30回日本霊長類学会大会
セッションID: P33
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ポスター発表
淡路島ニホンザル集団で観察された稀な行動
*山田 一憲
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抄録

ニホンザルはマカクの中でも厳格な優劣関係をもつ専制的な種であるとされている。とりわけ餌付け集団は、給餌によって個体間の争いが頻繁に生じるため、より厳格な優劣関係をもたらすと考えられている。淡路島ニホンザル集団(兵庫県洲本市)は、1967年より淡路島モンキーセンターによる管理と運営が継続されている餌付け集団である。淡路島集団は、他集団との比較研究から、個体間の凝集性が高く攻撃性が低いという、寛容な行動傾向を示すことが明らかになっている。発表者は、2000年より勝山ニホンザル餌付け集団(岡山県真庭市)を対象とした調査を行っており、2009年からは淡路島集団においても調査を開始した。本報告では、勝山集団の観察経験と比較すると「稀な行動」に思われる淡路島集団での観察事例を報告する。定量的な検討を行うには観察事例が足りないが、淡路島集団の特異性を示唆する事例に注目することで、淡路島集団の寛容性を理解する手がかりとし、ニホンザルの行動の多様性を議論することをめざす。

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© 2014 日本霊長類学会
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