霊長類研究 Supplement
第33回日本霊長類学会大会
セッションID: A17
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口頭発表
テングザルの前胃内微生物叢の種内変異
*松田 一希早川 卓志澤田 晶子NATHAN Senthilvel K. S. S.SALDIVAR Diana A. RamirezGOOSSENS BenoitSTARK Danica J.TUUGA Augustine
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抄録

DNAをもちいた単一菌種の分離培養を必要としない菌叢解析により,野生霊長類の糞から膨大な腸内細菌の情報が得られるようになり,その種内/種間比較が盛んに行われている。結腸・直腸での微生物発酵(後腸発酵)を行う多くの霊長類において,糞由来の腸内細菌の分析はその消化機能や効率,共進化的意義の理解に重要な情報を提示する。だが霊長類の中のコロブス類は,複数に分かれた胃に共生する微生物にセルロースを分解させることによってエネルギーを得ており,前胃内微生物も消化機能に多大に影響している。しかし,野生コロブス類の前胃内微生物の収集は困難なため,解析手法は確立されているがその詳細はあまりよくわかっていない。本研究では先ず,DNAメタバーコーディング解析によって得られた,テングザル(前胃発酵霊長類)の前胃内の細菌叢についての情報を提示する。次に,多様な植生環境に棲むテングザルが,単調な植生に棲むものに比して,より多様な前胃内細菌叢を有すことを示す。特に,川辺林,マングローブ(野生個体群,半餌付け個体群),飼育下という4つの異なる環境条件に生息するテングザルの前胃内微生物叢を比較する。本研究では,コロブス類の前胃内細菌叢に関する基礎情報を提示するとともに,前胃内細菌叢の定着に対して環境要因が及ぼす影響について明らかにする。

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© 2017 日本霊長類学会
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