霊長類研究 Supplement
第33回日本霊長類学会大会
セッションID: P10
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ポスター発表
チンパンジーの木登り運動における上肢利用に左右差が生じる要因は何か?
*中野 良彦
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抄録

霊長類の上肢利用の左右差(laterality)についての研究は,多くの種について観察および実験的研究が行われてきた。その中でチンパンジーについては多くの報告があり,個体レベルでの利き手の存在については,ほぼ認められている。しかし,ヒトにおける右利きの優位性のような集団レベルでの利き手については,飼育集団での実験研究と野生集団での観察研究について意見の食い違いが見られるなど,まだはっきりとした結論は示されていない。しかし,こうした調査研究は道具使用といった何らかの目的を持った行動における上肢の利用について行われたものがほとんどであり,個体が通常行っている運動におけるlateralityの存在についての報告は数少ない。そこで,チンパンジーの運動時におけるlateralityについて,林原類人猿研究センター(岡山県玉野市,2013年3月に閉鎖)で行った垂直木登り運動のビデオ撮影による継続的な観察研究から検討した。調査対象は4頭の成体(オス2頭。メス2頭)で,それぞれ数年間にわたる約150試行のビデオ記録について分析した。その結果,木登り運動における接地パターン,運動時間などの運動学的データに関してはlateralityが認められなかったが,木登り運動の終了を示す木製ポールの上端に触れる際に用いる手について,メス個体にはlateralityが認められた(第29回日本霊長類学会にて報告)。しかし,年齢変化との関係についてみると,こうした傾向は,ある年齢以降に生じたとものであることが示された。そのlateralityの生じた要因について,個体ごとに考察した結果について,とくにメス個体では,観察期間中に2頭とも出産を経験しており,その影響も含めて考察した。その結果,1頭のメスについては,出産の前後に明らかな変化が見られたが,他の1頭については明確ではなく,他の要因も含めてさらに検討を加える。

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© 2017 日本霊長類学会
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