霊長類研究 Supplement
第33回日本霊長類学会大会
セッションID: P11
会議情報

ポスター発表
マカク属の下顎第三大臼歯における種同定の試み
*浅見 真生高井 正成張 穎奇金 昌柱
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

マカク属Macacaは北アフリカの一部と南~東南アジアを中心に熱帯域から冷温帯域まで広く分布しており,ヒト以外の霊長類で最も成功しているグループである。化石記録としては,鮮新世以降のユーラシア大陸各地から報告があり,特に更新世以降の洞窟堆積物などから多数の化石が出土している。最近では,中国南部の広西壮族自治区の前期~後期更新世の洞窟堆積物から数千点を超える遊離歯化石が報告され,歯の形態に基づく予備的な解析の結果,これらの化石には4~5種のマカク属が含まれている事が示唆された。しかし,歯の形態が互いに類似しているため,現生種との系統関係は確定できていない。本研究ではそうしたマカク属の遊離歯化石のうち,歯種の同定が容易な下顎第三大臼歯に注目し,種の分別を試みた。始めに化石歯の精密な複製模型を作成し,その咬合面の形状を3Dレーザースキャナーで計測した。その後,解析ソフトを用いてランドマークを設定し,得られた三次元座標データと,同様のランドマークを設定・計測した現生種の座標データとを比較し,幾何学的形態測定による種の区別と同定を試みた。予備的な解析として,現生ヒヒ族Papionini5種(マカク4種Macaca fuscata, M. mulatta, M. nemestrina, M. fascicularis及び,外群として加えたPapio hamadryas)の標本に対して主成分分析及び正準判別分析を行ったところ,正準判別分析においてこれら5種の種分別の可能性が示された。本発表ではさらに,中国南部に生息していた可能性のあるアジア圏の現世マカク標本を追加し,化石を含めた比較・検討から,第三大臼歯を用いた種同定法の予備的な結果を報告する。

著者関連情報
© 2017 日本霊長類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top