霊長類研究 Supplement
第33回日本霊長類学会大会
セッションID: P09
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ポスター発表
嵐山餌付けニホンザルの体格関連因子について
*野本 繭子
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抄録

ニホンザルの餌付け群では,小範囲に撒かれた栄養価の高い食物をめぐる競争が顕著に現れる。そうした中で明瞭になる優劣関係によって,獲得できる食物の量や質が異なることが,体格に大きく影響するといわれてきた。しかし,順位が体格にどの程度影響するのか,また順位以外の要因の影響がどのくらいあるのかについてはまだよくわかっていない。本研究は,嵐山に生息するニホンザル(Macaca fuscata)の餌付け群において,体格にどのような要因が影響を与えているのかを明らかにすることを目的として行われた。2015年9月~12月に嵐山モンキーパークいわたやまにて四足静止時または歩行時のサルを真横から撮影し,ワカモノ~オトナメス(7~35歳)75個体の画像データを得た。背腹の幅と体高,頭胴長を画像上で計測し,頭胴長に比した背腹の幅を体格の指標とした。この数値が大きい個体ほど体格がよいと考え,その指標と,順位や家系,年齢,近縁個体の数,直近3年の産子数などとの関連について一般化線形モデルを用いたモデル選択を行なった。体格の指標は近縁個体数が多いほど大きくなる傾向にあり,年齢が上がるにつれて小さくなるようであった。個体数の多い家系の個体は,そうではない家系と比較して多くの援助を受けられるため,競争の激しい餌付け群においては採食に有利となるのかもしれない。一方で,順位の影響はモデルに組み込まれなかった。これは,中順位や低順位の個体においても,特異的近接関係にあるオスからの援助や効果的な採食戦略などによって採食量の確保ができているという可能性が考えられる。

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© 2017 日本霊長類学会
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