霊長類研究 Supplement
第33回日本霊長類学会大会
セッションID: P24
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ポスター発表
屋久島におけるニホンザル個体の日ごとの活動を可視化する地図表現手法
*SPRAGUE David S西川 真理
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抄録

GPS測位値の記録から得られる移動データにより霊長類の遊動を詳細に可視化して表現することが可能になり,幅広く研究報告に活用されている。その多くは遊動の軌跡を点や線として地図化したり,空間統計解析から遊動域の区域分けを図化したりする。さらに,個体追跡中に取得した行動データをGPS測位値と対応させることにより,観察個体の遊動中の活動を詳細に地図化することも可能である。理想的なデータは連続的な行動データを高頻度で取得したGPS測位値と対応させたものである。このような連続データにより,追跡個体の移動中及び停止中の活動をほぼ完全に地図化・グラフ化できる。しかし,調査者の研究計画によって,個体追跡中に記録される活動データは1分毎など,一定の間隔で記録されることが多く,その場合は活動データの不連続性を考慮した地図化・グラフ化手法を選択する必要がある。本研究では,GISソフトに備えられている地図化機能を活用し,鹿児島県屋久島に生息するニホンザルを調査対象として行った個体追跡中に観察者が取得したGPS測位値と活動データから,個体の移動を的確に表現する地図表現手法を探求した。まず,秒単位の記録による連続データから,観察個体の歩行中,停止地点,樹木内に滞在中の地点などにおける活動を地図化・グラフ化し,追跡個体の1日の活動を描いた。次に,その連続データから1分毎の記録を抽出し,その各地点をもとに1日の活動を描く地図化手法を試作した。連続データの場合は追跡個体の1日の遊動中の活動を正確に表現できたが,1分毎データの場合は時間分解能が低下するので,追跡個体の遊動中の活動そのものではなく,1日における活動状況図を表現できたといえる。

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© 2017 日本霊長類学会
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