霊長類研究 Supplement
第34回日本霊長類学会大会
セッションID: A14
会議情報

口頭発表
野生ジャワルトン(Trachypithecus auratus)の食性の季節変化とその要因
*辻 大和三谷 雅純K.A. WIDAYATIB. SURYOBROTO渡邊 邦夫
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

インドネシア・西ジャワ州のパガンダラン自然保護区に生息する野生ジャワルトン Trachypithecus auratus 1群を対象に16か月間の行動観察を行い,彼らの食性とその季節変化を調べた。また,森林の構造および食物の利用可能性との関連性を調べた。調査期間中,対象群は86種(165品目)の植物を食物として利用したが,上位10樹種の採食割合が大部分(63.8%)を占めた。生育本数が多い(あるいは樹冠体積が大きい)樹種が高い割合で利用される傾向が見られた。ルトンの主要食物は若葉(年平均69.9%)で,果実(21.2%)と花(7.6%)がそれに次いだ。若葉は調査期間を通じて常に高い割合で採食されたが,季節によっては果実や花が比較的高い割合で採食された。主要樹種が比較的限られている点,若葉への依存が強い点は,他のTrachypithecus属と同様だった。食性と植物フェノロジーとの関連性を検討したところ,カテゴリベースでは,若い果実の利用可能性が高い時期に採食割合が高くなり,また食物の多様性も増加したのに対して,植物種ベースでは主要樹種3種(Cynometra ramiflora, Swietenia macrophylla, Pterospermum javanicum),葉の利用可能性と採食割合の間に正の相関がみられた。以上より,ルトンの通年の食性は基本的には森林構造で決まるが,特定の樹種に対して高い嗜好性がみられること,各月の食性はその月の主要品目によって比較的柔軟に変わることが示唆された。

著者関連情報
© 2018 日本霊長類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top