霊長類研究 Supplement
第34回日本霊長類学会大会
セッションID: A25
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口頭発表
房総半島で拡大する交雑に関係するマカク外来種の再検討
*川本 芳白井 啓直井 洋二萩原 光白鳥 大佑下稲葉 さやか
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抄録

(目的)房総半島で拡大するマカク外来種との交雑につき,アカゲザル以外に影響するマカク種の可能性を検討することを目的にした。(方法)房総半島丘陵地帯のニホンザル生息地域とアカゲザルが野生化した半島南端地域を調査し,国および県の事業で捕獲した個体の血液試料を用いてY染色体DNAを分析した。はじめに,多型を示すマイクロサテライトDNA(STR)3座位の組み合わせで区別できるハプロタイプの分布状況から交雑地域を推定した。この結果をもとに,ニホンザル生息域で交雑が疑われる個体が持つTSPY遺伝子を解読し,既報配列と比べてその起源を推定した。(結果)Y染色体STR多型では,半島南端のアカゲザル母群と丘陵地帯のニホンザルに種特異的な複数のハプロタイプが識別できた。一方,勝浦市の複数のニホンザル群ではアカゲザル母群に検出されない外来種由来と思しきハプロタイプ(Xタイプと呼称)を認めた。これらの群れは他の遺伝標識からも交雑が裏付けられた。XタイプにつきTSPY遺伝子配列を決定したところ,中国のアカゲザルおよびベトナムのカニクイザルで報告のある配列と一致した。(考察)千葉県(2013)の報告でも勝浦市の交雑率は高く推定され,半島南端に定着したアカゲザルとはちがう外来種の影響が疑われる。この可能性につき,文献等から考察する。

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© 2018 日本霊長類学会
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