霊長類研究 Supplement
第34回日本霊長類学会大会
セッションID: P29
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ポスター発表
コモンマーモセットの体重に対する産仔数,出生時体重,および母体体重の影響—京都大学霊長類研究所の1つのコロニーの例—
*三輪 美樹鈴木 比呂美櫻井 彩華正村 聡美竹本 篤史中村 克樹
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抄録

コモンマーモセットの特性のひとつに,霊長類としては特筆すべき高い繁殖率がある。1回の出産で通常2仔出産し,飼育下においては3仔出産も多くみられる。米国のコロニーにおける調査では,産仔数が母体体重の影響を受けることや,新生仔の出生時体重や成長率と産仔数との間に関係があることが報告されているが(Tardif and Bales, 2004),これまでのところ日本のコロニーについての報告はない。そこで今回我々は,京都大学霊長類研究所本棟で繁殖維持しているコロニーにおけるコモンマーモセットの産仔数,出生時体重,1歳時体重,2歳時体重および母体体重の関係性を検討した。1仔出産は十分なサンプル数がなかったため2仔と3仔の場合を比較した。また,我々のコロニーでは3仔で生まれても管理上2仔までしか親哺育にしていない。出生時体重は3仔の方が2仔より有意に低かったが,1歳時および2歳時には仔数による体重差は認められなかった。出生時体重はその後の体重に影響し,1歳時2歳時とも出生時体重の間に正の相関がみられた。母体の出産時体重と1歳時2歳時体重の間にも正の相関が認められた。また,1~2歳時にピーク体重が400gを超える個体はその母体自身の1~2歳時ピーク体重が400g以上の個体からしか生まれていないことが分かった。大きな個体を得るための繁殖個体選別にはピーク体重が目安となる可能性が示唆された。さらに,投薬による避妊で出産回数の調整を行うと,母体の体重が増加する傾向が認められた。適切な妊娠のコントロールを実施して母体の体重を増やすことが大きな個体を育てる上で重要であると考えられる。

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© 2018 日本霊長類学会
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