霊長類研究 Supplement
第34回日本霊長類学会大会
セッションID: P38
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ポスター発表
踵骨による霊長類の体重推定
*鍔本 武久
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抄録

【背景】踵骨・距骨は適度に扱い易いサイズで,よい状態で化石として発見される確率が高い。また,容易に同定できる特徴的な形態で,行動形態をよく反映している。一方,化石霊長類の体重は,古生態の研究に重要な要素である。【問題点】距骨による体重推定についてはいくつか成果が出ているが,踵骨による体重推定については,まだ少ない。【目的】霊長類において踵骨サイズからその動物の体重を推定する最適な方法・式を見つけること。【資料と方法】現生霊長類の成獣の骨標本28個体。体重を台帳より取得し,踵骨の12箇所を計測。体重と計測値を自然対数に変換して,それぞれの計測部位と体重との関係(アロメトリー)を,回帰分析と%SEE・%MPEにより検討【結果と考察】ステップワイズ重回帰分析の結果,基準によって組み込まれる計測値がいろいろと変わるが,「後距骨関節面の幅」が全ての場合において組み込まれた。単回帰分析における%SEE・%MPEは,ほとんどの場合に「後距骨関節面の幅」の値が一番低かった(一番良かった)。また,最適な場合の%SEE・%MPEの値そのものは,距骨の場合のそれらとあまり差はなかった。よって,霊長類において踵骨から体重推定をおこなうには,「後距骨関節面の幅」を使用するのか最適であることがわかった。この場合の体重推定の式(予測区間95%)は以下のようになる:BM = (EXP(2.554 x loge W + 3.536 ± 0.641)) x 1.067:ここで,BM = 体重(g),W = 「後距骨関節面の幅」(mm),である。一方で,様々な哺乳類における踵骨からの体重推定を予備的に検討したところ,「後距骨関節面の幅」は体重推定には適しておらず,「踵骨の幅」が適していることがわかった。

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© 2018 日本霊長類学会
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