主催: 日本霊長類学会
会議名: 日本霊長類学会大会
回次: 34
開催地: 東京都
開催日: 2018/07/13 - 2018/07/15
霊長類の大腿後面の筋群の構成とその支配神経を明らかにする目的で,リスザル1体2側,ニホンザル1体2側,チンパンジー1体2側について,肉眼解剖学的に観察した。リスザル・ニホンザルの大腿後面外側にある筋(Bf1)を観察すると,起始は坐骨結節,停止は腸脛靭帯,腓骨頭,外側下腿筋膜であった。Bf1の筋線維は,坐骨結節から腸脛靭帯に向かって走行している筋線維と,坐骨結節から腓骨頭,外側下腿筋膜に向かって走行している線維の2つに分けられた。前者の筋線維には下殿神経からの枝が進入していた。後者の筋線維には,近位部に坐骨神経(Ish)の脛骨神経(Ti)部からの枝が進入し,遠位部に総腓骨神経(Pc)部からの枝が2本進入していた。Ti部からの筋枝はIshが大坐骨孔を出てすぐにIshから分枝し,Bf1の筋枝の他に半腱様筋(St),半膜様筋(Sm),大内転筋(Am)への枝も持っていた。Pc部からのBf1筋枝は2本とも,IshのTi-Pc分岐部の頭側で分枝した。この筋枝はBf1に侵入した後,Bf1を貫く皮枝,または,Bf1の背側を廻る皮枝を分枝した。リスザルではニホンザルのような筋線維の走行の違いは確認できなかったが,Bf1のIshからの分枝様式はニホンザルと同じであった。チンパンジーにおいて大腿後面外側にある筋 (Bf2)の停止は腓骨頭・外側下腿筋膜。起始は二頭あり,長頭(Lg)は坐骨結節,短頭(Br)は大腿骨体後面遠位部であった。Lgの支配神経は,Ishの近位部にてTi部から分枝した。このLg支配神経は大殿筋の下縁を廻って殿部に分布する皮神経と大腿後面に分布する皮神経を分枝した。また,Sm,Stへと進入する枝が,Ti部から分枝していた。Ishが下腿へ向かう際にTi部からAmへと進入する筋枝が3本,Pc部からBrへと進入する筋枝が2本分枝した。これらの結果から,霊長類大腿後面外側の筋群について比較解剖学的に考察を行いたい。本研究は京都大学霊長類研究所共同利用研究にて行われた。