霊長類研究 Supplement
第35回日本霊長類学会大会
セッションID: B03
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口頭発表
アジアのマカク属下顎第三大臼歯における種群間変異
*浅見 真生高井 正成張 穎奇金 昌柱
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抄録

マカク属の化石は鮮新世以降のユーラシア大陸各地から見つかっており,特に更新世以降の地層より多数得られる。化石の多くは遊離歯化石であり,中国広西壮族自治区の洞窟堆積物からは数千点が報告されている。豊富な化石記録からマカク属は現在よりも広い地域に分布していたことが分かっているが,歯牙化石の形態から属以下の同定を行う手法は確立されておらず,過去の分布域の変化や化石と現生種との系統関係の推定は困難であった。本研究では,顎骨から外れた遊離歯化石でも歯種の同定が容易である下顎第三大臼歯に注目して幾何学的形態解析を行い,現生種の種間及び種群間の形態変異を探索することで,化石と現生種の形態を比較し遊離歯化石の系統的位置の推定を試みた。アジアに分布する現生マカク属を対象に解析を行い,広西壮族自治区の化石について検討を行った。歯の咬合面の表面形状を3Dレーザースキャナーで取得し,ランドマーク法を用いて三次元形状と二次元形状の双方を比較した。その結果,咬合面のアウトラインに対する咬頭頂の配置や咬頭の高さなどについて,種群間の形態差が明らかとなった。カニクイザル種群は特に他のトクマカク種群やシシオザル種群よりも咬頭が低く,咬頭が歯冠の辺縁部に広がる傾向があった。また,広西壮族自治区の更新世の遊離歯化石には先行研究で示唆されていた3種群全ての化石が含まれることが示された。今後他地域のマカク属化石と比較することで,マカク属の分布遷移の理解に貢献できると期待する。

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© 2019 日本霊長類学会
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