霊長類研究 Supplement
第35回日本霊長類学会大会
セッションID: B02
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口頭発表
ニホンザル脊髄神経後枝の観察―分節による後枝走行形態の変化―
*布施 裕子時田 幸之輔小島 龍平平崎 鋭矢
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抄録

脊髄神経後枝は,最長筋・腸肋筋に分布する外側枝と,横突棘筋群に分布する内側枝に大きく分かれる。最終枝は皮下に出現し,それぞれ外側皮枝・内側皮枝となる。固有背筋は比較的原始状態にとどまり分化の程度が低い(山田)とされている。しかし我々は,ヒトにおいて,内側皮枝の有無によって横突棘筋群への筋枝の走行形態が変化することを明らかにした(布施 2019)。今回,ニホンザルを用いて胸・腰神経後枝を肉眼的に観察することで,外側枝と内側枝の走行・分岐様式の分節による変化を明らかにした。観察したニホンザル(京都大学霊長類研究所所蔵標本1体)は,胸椎13個・腰椎7個で構成されていた。Th7-8は,外側枝は最長筋と腸肋筋の間を走行し,まず最長筋に対して外側から,次に腸肋筋に対して内側から筋枝を分岐し,2筋の間より皮下へ出現し外側皮枝となった。内側枝は,内側皮枝と筋枝に大きく分かれ半棘筋と多裂筋の間を走行し,筋枝はまず多裂筋に対して浅層から,次に回旋筋に対して浅層から,最後に半棘筋に対し深層から分岐した。内側皮枝は棘突起の下外側で皮下に出現した。Th2-6では,外側皮枝を持たないが,他の枝はTh7-8と同様であった。Th9-11は内側皮枝を持たないが,他の枝はTh7-8と同様であった。Th12-L2は,外側皮枝がより外側を走行し腸肋筋の筋束を一部貫いた。内側枝は,回旋筋の深層を走行し,全ての筋に対し深層から筋枝が分岐した。L3では,外側皮枝は腸肋筋の筋束をL2よりも多く貫くことで,より深層を走行し外側から皮下へ出現した。他の枝はTh12-L2と同様であった。外側枝は,外側皮枝が存在してもしなくても,筋に対しての筋枝の走行・分岐様式は変化せず,外側皮枝の走行のみが変化していた。以上より,ニホンザルの胸・腰神経後枝は,外側枝は外側皮枝が,内側枝は筋枝が,胸腰椎移行部より下位の分節で走行位置を深層へと変化させた。本研究は京都大学霊長類研究所共同利用・共同研究で実施した。

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© 2019 日本霊長類学会
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