霊長類研究 Supplement
第35回日本霊長類学会大会
セッションID: P21
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ポスター発表
淡路島ニホンザル集団における成体メス間の順位構造の分析
*貝ヶ石 優山田 一憲中道 正之
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抄録

オナガザル亜科に属する霊長類の多くでは,成体メス間の順位は血縁関係のある個体の順位に大きく影響されることが知られている。特に専制的で血縁びいきの強い社会構造を持つニホンザルやアカゲザルでは,(1)娘は母親の順位を受け継ぐ (2)娘は母親よりも低順位である (3)妹は姉よりも順位が高くなる,という原則 (川村の原則: 川村, 1958) が広く成り立つ。他方,それらの種と近縁であっても,より寛容性が高く血縁びいきが弱いとされる種では,成体メス間に川村の原則から外れた順位関係が見られやすい。本研究では,ニホンザルとしては特異的に高い寛容性を示す淡路島ニホンザル集団において成体メス間の優劣関係を分析し,この集団で川村の原則に従った順位関係が見られるかどうかを検証した。2015年-2019年までに記録された,196頭の成体メス間の優劣交渉 (11835回) を分析した結果,56組の母娘ペアのうち18組 (32.1%) において娘が母親より優位であり,57組の姉妹ペアのうち20組 (35.1%) において姉が妹よりも優位であった。餌付けニホンザル集団における先行研究では,集団内の低順位家系や,年を取った母親と娘のペアにおいて,順位逆転が見られやすいことが報告されている。しかし淡路島ニホンザル集団では,血縁個体間の順位逆転は,低順位家系に限らず高順位家系においても多くみられ,また母娘間の順位逆転は母親の年齢に関わらず起こっていた。以上の結果から,淡路島ニホンザル集団においては,一般的なニホンザル集団とは異なり,血縁関係が個体の順位獲得に及ぼす影響が小さいことが示唆された。この集団の個体は,血縁びいきが弱く平等的な,寛容型マカクに近い社会構造を有していると考えられる。

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© 2019 日本霊長類学会
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