主催: 日本霊長類学会
会議名: 日本霊長類学会大会
回次: 35
開催地: 熊本
開催日: 2019/07/12 - 2019/07/14
大分市にある高崎山には、餌付けされた600頭を超える大きなニホンザルの群れが生息している。本校科学部の2015年の先行研究では、高崎山群のグルーミングを行う時間は宮崎県幸島群よりも長かったことなどから、グルーミング行動が大きな群れの維持に役立っているとしていた。そこで、高崎山群におけるグルーミング行動をさらに詳細に分析し、雌雄のグルーミング行動の違いを明らかにすべく、高崎山B群を対象にグルーミング行動を調査することにした。フォーカルサンプリング法を用いて、雄雌各15個体のグルーミングに関わる時間、その際の相手個体の情報、グルーミングをする体の部位等を調査し、雌雄のグルーミング行動の比較を行った。その結果、雄ザルでは、大人同士の場合はグルーミングをされることが多かったが、子ザルが相手の場合は、よく子ザルにグルーミングをする個体、子ザルからグルーミングをされる個体、その両方である個体、子ザルにほとんど関わらない個体の4タイプに分類できることが分かった。雌ザルでは、子ザルが相手の場合はグルーミングをする時間が長かったが、大人雌ザル同士の場合はグルーミング直前に催促行動が行われ、短時間で交替が行われていた。雌雄の行動を比較すると、子ザルにグルーミングをする時間に違いが見られ、グルーミングをする体の部位は、雌ザルは子ザルの体全体をグルーミングしていたのに対して、雄ザルは背中が中心であることが分かった。以上の結果より、雌ザルが子ザルに行うグルーミングは、体の衛生を保つ育児行動としての役割をもつが、雌ザル同士では利他行動としての特徴が見られ、雄ザル同士または雌雄のグルーミング行動は親和的役割が大きいと考えられた。また、雄ザルには、0歳児を母ザルから取り上げて長時間グルーミングするなど、異常行動と考えられる行動が観察された。